書籍案内 「私の中の深田久弥」
元日本山岳会北海道支部長 滝本幸夫 1400円+税
詳細 img105
夏期山行
長良川源流部遡上~大日ヶ岳(1709.0m 一等三角点)
▲長良川源流、叺谷を溯る一行
向かった高速道路から、目指す大日ヶ岳はじめ白山までピーカンの好天。沢歩きにはまたとないコンデションとなった。打ち合わせ通り国道沿いの分水嶺碑で全員が落ち合い、叺谷の渡渉地点に向かう。さっそく身支度を整え左岸から沢に一歩をしるす。ここは標高950m地点、夏とはいえさすがにひんやりとして身の引き締まるほどよい緊張感。
所によっては膝上、股の辺りまで水につかる。全員渡渉タビを履いていることもあるが、ここの岩は滑らないので助かる。ほぼ予定の時間で堰堤の左岸を乗越し、巧みに岩や流れをやり過ごして上流を目指す。1396m地点南のガレ場あたりからは次第に越える岩が大きくなり勾配も増してくる。いつの間にか水の冷たさも忘れ、汗がしたたり落ちる。それまで見上げる空は大きく青々として、木々の緑が目に染みる景色が広がっていたが、標高1300mあたりからは次第に水量も少なくなり、空も小さくなってきた。登り始めて5時間、空がクマザサに覆われ無くなった頃、標高1520mあたりで岩の間から滴れ落ちる長良川最初の流れを確認。まさしくこの辺りが清流長良川最初の一滴である。
この先、あたりは親指の太さを超すクマザサの林、動物も寄せ付けない隙間一つないA級のヤブ漕ぎが続く。振り続けたナタがついに悲鳴を上げた。選手交代、助かったありがとう。1時間半以上続い
たヤブ漕ぎの末、ダイナランドからの登山道に飛び出す。全身は汗と泥まみれ、着ている服もところどころに穴が開く。感激のあまり登山道で思わずへタレこみ歓声が上がる。
そして目の前に山頂。360度のパノラマと至福の時をくれた。メンバーの中には初めての強烈なヤブ漕ぎに最初は口数も少なかったが、登って見れば忘れることの出来ない思い出の1ページになるはずだ。 [藤井法道 記]
[日 時] 平成27年8月23日(日)
[場 所] 岐阜県郡上市高鷲町西洞~高山市荘川町尾上郷、高鷲町西洞 境
[参加者] 後藤 允、関本俊雄、竹中美幸、竹中佳美、林 靖子、藤井法道、水谷 透
[タイム] 岐阜県庁4:30=ひるがの高原分水嶺碑6:00=入渓点(長良川源流の碑)6:30~ 6:45-堰堤7:20~7:30-1396m点南ガレ部8:50~9:00-長良川源流地点(最初の 一滴)11:20~11:30-登山道出合13:00-大日ヶ岳13:20~
14:00-鎌ヶ洞(Ⅲ△ 1356.2)15:10~15:20-ひるがの高原分水嶺碑16:50~17:00=岐阜県庁19:10
[地 図] 新淵(金沢4―2)、二ノ峰(金沢4―4)、石徹白(岐阜1―3)
8月例会山行
能 郷 白 山 (1617.4m 一等三角点)
▲能郷白山で見たアサギマダラ
能郷白山はいつでも行けると思い、まだ行かなかった山だ。今日は単独でないだけ気が楽である。相変わらず国道418号線は途中通行止めだ。また迂回路として利用予定の猫峠も土砂崩れの後片付け中で道路状況がよくない。幸い迂回路経由で温見峠に着くことができた。
登り始めは日差しが強く、勾配がきついこともあり足取りも重かったが、稜線に出ると涼しい風が吹き、快適に歩くことができた。大量の赤とんぼが舞い
秋の到来を感じさせた。途中、アサギマダラが美しく飛び、私以外の人は写真に収めていた。
ここは1等三角点でずいぶんと立派である。遠くには白山、日永岳を望むことができた。行きに若い登山2人組に会い、私たちがラストかと思ったが、帰路でも多くの登山者に会った。往復時間も短く、景色もいい手ごろな人気の山なのだと実感した。 [那須哲郎 記]
[日 時] 平成27年8月9日(日)
[場 所] 岐阜県本巣市根尾大河原、福井県大野市温見 境
[参加者] 今峰正利、竹中美幸、竹中佳美、那須哲郎、林 靖子
[タイム] 樽見駅7:50=温見峠9:10-能郷白山11:25~12:00-温見峠14:00=樽見駅15:20[地 図] 能郷白山(岐阜6-3)
6月バリエーション山行(白山禅定道探索シリーズ)
三ノ宿(1304.6m 三等三角点)、“三ノ宿”探索
▲三角点脇の林道で両隊の参加者一同
[白鳥隊]
今年の梅雨はよく晴れている。今日も天気が良さそうだ。白鳥隊は白鳥物産センターから白山長滝神社に向けて出発し、神社裏手の集落から始まる長滝林道も車で進む。林道の状態は良く、標高700mあたりの尾根まで上ったところで駐車。まだ先に続く林道を歩き、10分ほど歩いたところで尾根へ上がる。この杉植林地の尾根には、わりと良く踏まれた作業道がついている。ところが平坦な尾根はすぐ終わり、傾斜がきつくなっていく。周りに杉の大木や切り株が現れる頃にはさらに急勾配となり、作業道は不明瞭となっていく。アカショウビンがヒュロロローンと鳴いている。ブナやミズナラの大木も出てくる。汗だくである。
1時間30分かけて、漸くかつての白山禅定道である稜線上に出る。この地点は開けたちょっとした広場になっており、杉の大きい切り株がある。一昨年の探索時も“宿”とするには良さそうだよね、と言っていた場所だ。念のため探索してみるが、水気はあるものの石など全く無い。休憩したいところだが、ブヨにたかられて落ち着かない。すぐに再出発する。
大きい杉の古株、倒木の散乱する稜線を30分ほど歩けば、三之宿ピーク目前の鞍部を見下ろす地点に到達する。この先は本日の最重要探索ポイントのブナ林だ。下層植生はササとなっている。前回もここまで来ており、下見済みだ。一旦、鞍部から上がると、平坦地がところどころ点在する。左手に水の流れる沢がある。ここからは分かれて探索する。沢は深く、詰めていくと沢の左手は急斜面で取り付けそうにない。右側なら簡単に取り付ける。やはり“宿”最有力地点候補は、沢右手に広がる県境線上の平坦地だろう。
大きい木を目指して探索するが、意外と大きいブナがない。若いブナ林である。一度、伐採してあるのではないだろうか。ササの下には全く石が見つからない。そのまま探索しながら県境線上の林谷の峠まで進むことにし、北上していくと杉が見えてくる。到達すると平坦地は終わり、下り斜面となる。その際に5個ぐらいの20~30㎝ほどの石(積石に適した形・大きさを備えている)が階段状になっている所を見つける。杉の大きい古株もある。周りの表層を払ってみるが、それ以上の石はでてこない。石の数や土地の傾斜を考えると“宿“跡とは少し考えにくいが、本日初めての複数の石だった。
この先の峠には林谷林道が見えているので、三之宿頂上へ行くために引き返す。その途上和泉隊の一団と出会う。どこから出てきたのであろうか。この探索中石を見ていないので、今見てきた所を皆で見てみようということになり引き返す。先程の地点を見た後、峠に降りる。ここに来てようやく理解
できたのだが、林谷林道がこの峠からさらに延伸し、三之宿頂上付近まで行っているとのことだった。この先は林道を全員で歩き頂上で昼食をとることにする。行ってみると三角点は林道の真横にあった。そのそばには石積に適当な石が沢山固めて捨ててある。「怪しいなぁ」と言っていたが、可とも否とも言えない。これだけ立派な林道が頂上を通っているのだから、“宿”を破壊していても不思議ではない。
昼食をとった後、頂上付近林道横の怪しい平坦地を両隊で合同探索する。ブナ林の中には 50㎝ぐらいの自然石はあるものの、“宿”跡らしき石積跡を発見できなかった。探索を終了し、林道に戻り記念撮影後、和泉隊と別れ下山となる。下山途中「やはりこの沢の辺り怪しいよね」と言いながら下山して行った。今振り返ってみると、地面を掘る道具を持ってくるのを忘れていた。もう一度、探索するなら林谷林道が使えるので、今回も気になった沢周辺100m位を集中的に探すべきだろう。 [鈴木寛人 記]
[和泉隊]
5時30分、白鳥物流センターに集合。隊長の鈴木さんから「未発見の宿を見つけても、そこにある物は絶対に持ち帰らないようにしてください」というお話しがあった。ひょっとしたら‥‥、と想像すると何かワクワクしてきた。我々和泉隊8人は3台に分乗して出発、九頭竜湖畔から林谷林道に入る。林道にトラブルがあったらそこから歩くとのことで心配したが、なんとか通れる状態が続く。途中、左からの枝谷に素晴らしく大きな滝が懸っていて、帰りにじっくり見ることにする。その先にゲートが有りドキッとするが、鍵がかかってないことが分かりホッとしてさらに進む。
林道を走ること約1時間。パーッと視野が開け景色が広がる。標高約1130m。駐車スペースがあったので車止めとし、そこから歩き出す。道は舗装こそされていないが平坦ないい道だった。林道の両側には食べ頃のフキやワラビ、ウド、イタドリなどが出そろっていた。それを横目で見ながら頂上を目指した。頂上まで林道が続いていた。頂上では皆で三角点を捜しに藪に入り、林道のすぐ横の藪の中に隠れているのを見つけ出した。1304.6mの三角点の上には「三の宿」と書かれたプレートが架かっていた。点名は「保谷奥」という。
まずは一服し、未発見の宿捜しに県境を目指した。すると県境付近の藪の中から白鳥隊の声が聞こえるではないか。あまりの速さにびっくりした。藪に突入して合流。笹などが生い茂っているいるが平坦なところで、何か見つかりそうな予感がしたが甘かった。大木、石などを目当てに捜し廻ったがそれらしき所は見つからなかった。長年の年月が経ち、埋もれてしまっているのだろうか。でも宝捜しのようで何とも言えず楽しかった。
その後、三角点の下で全員揃って食事をした。食事の後、気になるところを再び捜したが無駄であった。諦めて又二手に分かれ下山。帰りの途中、滝の所で車から降り写真を撮って白鳥物流センターに向かった。 [藤田純江 記]
▲林谷林道で見た滝
[日 時] 平成26年6月14日(日)
[場 所] 岐阜県郡上市白鳥町長滝、白鳥町千田野 福井県大野市下半原 境
[参加者] [白鳥隊]今峰正利、白木貞次、鈴木寛人、村松哲彦 [和泉隊]後藤 允
竹中佳美、久田宗昌、藤井法道、藤田澄江、堀 義博、松本 良、馬淵 等
[タイム] [白鳥隊]白鳥物産センター集合出発5:30=長滝林道上部車止め6:00―県境稜線7:25―頂上下の平坦地7:55~付近探索~三之宿頂上10:30~11:00~頂上付近探索~11:50―車止め13:15=白鳥物産センター13:50
[和泉隊]白鳥物産センター集合出発5:30=林谷林道上部車止め6:45―三之宿頂上7:55~8:20―県境稜線8:35~白鳥隊と合流、宿探索~三之宿頂上10:30~11:00~頂上付近探索~11:50―車止め12:35=白鳥物産セ
ンター14:00(解散)
[地 図] 石徹白(岐阜1-3)、白鳥(岐阜1-4)
6月例会山行(第8回今西錦司記念山行)
母 袋 烏 帽 子 (1340.8m 二等三角点)
▲母袋烏帽子の三角点を囲んで参加者一同
当初オサンババ(1631.3m、山中峠からとったのか最近の2.5万図では「山中山」となっている)の予定であったが、めいほうスキー場のゲレンデの放牧開始によって登ることが困難になった事、庄川町寺川戸から山中峠への林道修復が遅れている事、又、5月下旬に佐藤正雄会員と旧一色国際スキー場からのルートを下見に行ったが、時間がかかりすぎる事、等々によりこの計画をあきらめた。そこで、1週間前に皆さんに連絡して母袋烏帽子に変更するに至った。
美濃総合庁舎に集合し、車3台に分乗し出発。ぎふ大和ICで降り、母袋温泉スキー場の駐車場には1時間ほどで着いた。駐車料金は500円。点呼をとって出発、温泉ロッジ左奥のキャンプ場のバンガローを過ぎるとアスファルトから砂利道に変わった。林道の周辺にはタニウツギのピンクの花が至る所に咲いていた。
標識が見え、分岐を左にとると山道に変わる。足元が悪く檜の根っ子が続くが、
風雨にさらされ土が削られて表面が露出し痛々しい。傾斜が緩い植林帯を登り詰めると尾根に出る。お助け水の案内板を過ぎるとやや急登となり、登りきると林道に出合う。「山頂まで60分、距離1660m」と書かれた道標を見ると、まだ登り始めて1時間もたっていないことに気がついた。さらに、白樺の道、ブナの道の案内板を経るとブナやミズナラの雑木帯が現れ、道も急登になり高度をあげた。そんなにも汗をかかず、気分は良かった。
この樹林帯を抜けると笹が生い茂り、頂上近くとなった。樹林の間からは遠く白山が見え、山頂に辿り着くとそこは平らで木陰に囲まれた休息しやすい所である。笠ヶ岳、毘沙門岳、荒島岳がくっきり見え、白鳥方面の街並みも一望できた。2時間弱の山行であったが、帰りは多くの林道が出来ており、間違いそうになり、回り道をしてしまった。 [高木基揚 記]
[日 時] 平成27年6月7日(日)
[場 所] 岐阜県郡上市大和町粟巣
[参加者] 久野菊子、後藤 允、白木貞次、白木しづゑ、杉山美智子、高木基揚、竹中美幸、竹中佳美、馬渕 等
[タイム] 美濃合同庁舎6:50~7:05=母袋温泉スキー場8:10~8:20-登山口8:40―白樺の道9:35-ブナの道10:05-母袋烏帽子10:25~11:25-林道出合い11:45-母袋温 泉スキー場車止め13:10~13:30(解散)=岐阜15:30
[地 図] 那留(岐阜1-2)
5月バリエーション山行(誰も知らない二等点の山シリーズ)
簑 谷 山 (1485.9m 二等三角点)
▲稜線上の薄い藪を歩く
誰も知らない二等点の山シリーズ2回目は、丹生川ダムの東にある簑谷山。以前登ったときはダムが工事中だったので、完成により道がどのように変わっているか心配である。
岐阜組8人は2台の車で県庁を出発。高山インターからいつもの上枝駅を通るショートカットのルートで2時間足らずで旧丹生川村役場に到着、長野から来る村松君を待つ。彼もほぼ時間通りに到着、そろって折敷地に向かう。ダムの手前で左折し、新しい付け替え道路を通りダムの上に出る。新しいダム湖周回道路を少し行くと、以前通りの林道入り口に到着。特に心配するほどの事も無かった。周回道路脇に駐車する。
前回は林道入り口より歩いているので、今回もそのように歩き出す。途中にゲートがあったとか道が荒れていたとかの理由があった
ように思ったが、歩いても歩いても林道に障害は何も無い。結局林道終点まで車でも入れたのである。無駄に歩いた1時間ではあるが、これを車で入ると1時間弱の登りで頂上となる。これではお山に対して失礼ということになろう。林道途中に山菜の収穫も少なからずあったので、やはり林道入り口から歩くのが本来の姿であると納得した次第である。
地図上には、林道終点から山腹を周回する林道が記されている。完全に廃道で草と伐採した枝で埋まっているが、歩けないことも無いのでそれを辿る。時計回りに暫く進み、途中から左の植林帯に入りコルに出る。その先は小尾根を直登。道は無いが藪もそれほどでも無く、木に掴まりながら順調に高度を稼いでいく。
30分の上りでピークに着くと左折し、北へ緩やかな稜線を辿る。何となく踏み分け道もある。その稜線歩きも10分足らず。特に苦労することも無く三角点に到着。もっと手強い山を期待していたかも知れない参加者に対しては申し訳ないような呆気ない山であった。
少々の藪を切り開き広場を作り、昼の憩いの場とする。周囲は立ち木が多く見晴らしは今一だが、木の間越しに笠ヶ岳や黒部五郎が見える。笠ヶ岳の雪形の白馬は大分痩せてしまっていた。村松君の蘊蓄を聞きながらの1時間も過ぎ、同じルートを下る。林道に戻ってからはお目当ての山菜採り。車止めでそれなりの収穫を山分けし、そのまま北へ向かう村松君と別れ帰途についた。次回はもう少し難しい山を選ぼうと思う。 [堀 義博 記]
[日 時] 平成27年5月24日(日)
[場 所] 岐阜県高山市丹生川町折敷地~同市同町鼠餅
[参加者] 神山敬三、後藤 允、白木貞次、竹中美幸、縄田さかゑ、堀 義博、馬渕 等、村松哲彦、山本善貴
[タイム] 県庁東駐車場6:30=旧丹生川村役場8:15~8:35=林道入口8:50~9:05-林道終点10:00~10:10-簑谷山11:10~12:00-林道終点12:35~12:45-車止め13:40~13:55-県庁東駐車場16:00(解散)
[地 図] 町方(高山11-4)、籏鉾(高山11-2)
5月例会山行
上谷山(1083.0m 二等三角点)、鏡山(1086m 三角点なし)
▲上谷山頂上で参加者一同
▲鏡山頂上で参加者一同
この山は徳山ダム堰堤の西側に位置し、上谷山(うえんだにやま)はぎふ百山、鏡山は続ぎふ百山に含まれている。当支部では28年前に上谷山に登っている。当時はまだ徳山ダムの工事は始まっておらず、徳山本郷の街並みも賑っていた。
今回は徳山会館を起点とし、上谷山経由でヤブの鏡山を目指す。会館前の駐車場から歩き出す。道路脇の階段を登るとすぐ展望台に出る。青空のもとダム湖の上に新緑の山々が広がる。この山行一の展望、というより展望と言えるのはこの付近のみであった。再び階段を登り森の中に入る。若葉の深い緑に囲まれて歩くのは清々しい気分になる。頭上は樅やミズナラの大木が覆い、シロモジの葉の間を縫って緩やかに、あるいは急登を繰り返し進んでいく。
時々木の間からダム湖が覗く。湖上を渡る風が吹き付けるのか、涼しい風が横から吹き抜け汗もかかずに歩いていけた。尾根芯には薄い踏み跡が残っており、倒木や枝が覆っていても問題ない。高度があがると北に能郷白山から金草岳が切れ切れながら見られるようになる。上谷山頂は高い木に囲まれ、三角点の周りだけ切り開かれていた。周辺を猪が掘り起こしており、その土で埋もれていた三角点標柱を掘出し集合写真を撮る。
小憩の後、この場に留まることにしたOさんを残し10人で鏡山を目指す。ヤブは根曲り竹と小灌木であったがさほど密ではなく、尾根芯には幽かな踏み跡もあり順調に進めた。ミノマタの分岐ピークで東に向きを変えると、笹は低くなり気持ちのいい樹林帯になる。山頂が意外な近さに迫っていた。
鏡山の山頂は背丈を越える笹と高木。太いミズナラの枝に山名板が付けてあった。記念の写真が撮れるよう切払い、パチリ。木の間から花房山が覗く。お腹が空いてきたこともあり、早々に上谷山へ引返し昼飯とした。西には千回沢山らしき山塊が木の葉越しに見えそうでもどかしい。山頂周りにコシアブラの高木が有り、木登りの上手い老熊が若芽を取り、分けてくれた。この日の夕飯に春の香りをはこんだ模様。日差しは強いが爽やかな風と明るい緑に包まれた一日であった。 [神山敬三 記]
[日 時] 平成27年5月10日(日)
[場 所] 岐阜県揖斐郡揖斐川町開田(旧徳山村)
[参加者] 大口瑛司、神山敬三、西條好迪、白木貞次、関本俊雄、高木基揚、竹中美幸、竹中佳美、久田宗昌、堀 義博、山本善貴
[タイム] 徳山会館駐車場6:45-上谷山頂上9:45-鏡山頂上10:50-上谷山11:45~12:45-徳山会館駐車場14:55(解散)
[地 図] 美濃徳山(岐阜10-2)、美濃広瀬(岐阜11-1)
5月バリエーション山行
漆 山 岳 (1393.1m 二等三角点)
▲長い稜線歩きの末辿り着いた漆山岳頂上で
この山は飛騨市の旧宮川村と旧神岡町の境にあり、東側が高原川へ一気に切れ落ちている。山頂部は高原状で、炭作りに木を切ったため高木が少なく笹に覆われてしまったようだ。したがって雪が無ければ到底登頂は望めない。この山に登るには、残雪期にソンボ谷林道を利用するか高原川沿いの西漆山集落から急斜面を攀じるようだが、体力不足の我々は、宮川から池ヶ原湿原まで乗り入れ、北に続くなだらかな稜線をたどることとした。
早朝、美濃の総合庁舎付近に全員集合。真っ暗闇の中高速道で高山を目指す。宮川町打保の集落を抜けるとすぐ宮川を渡り湿原へ行く林道に入る。林道は一週間前に開かれたばかりだと云うのに、数日来の高温のためか路肩の雪は少なく、先が思いやられる。池ヶ原湿原の駐車場に着くと既に10台程の車があった。
車道を800m戻り左(東)の谷の枝林道へ。倒木を跨ぎ雪を踏むようになるが、残雪は少ない。谷奥のT字路から左山にして植林帯に取付く。雪は締まっているが所々途切れており、雪を拾い枝を掻き分けながら、最後は直登して雪田のある最初のピークに飛び出す。視界が開け西に金剛堂山、白木峰が残雪をまとい目に飛び込む。辺りは新緑、ブナ林。思わず歓声が漏れた。少し行くと今度は右に北アルプスが、剣岳から笠ヶ岳まで広がる。見惚れてしまう光景だ。実にいい時期に来たものだと思う。
一旦下り林道に出、三角点峰への登りになる。雪は無く最初は胸ほどの細めの笹であったが、次第に太く背丈を越す根曲り竹に変わる。強引に掻き分けて雪のある所に出ると、そこが三角点峰山頂であった。笹と雪の中を探すと、運よくY氏が三角点を見つけてくれた。タッチ。三等点桂谷。さっそくF氏が真上の枝にピンクのリボンを結んだ。ここでようやく目標のピークが顔を見せるが、まだ遠くはるか。しかし空の青、木々の緑と雪の混ざる広々とした風景を目にすると、益々登高意欲が湧いてくる。
しかしながら、此処からが核心部であり手強い道行となった。稜線上は当然日当たりがよくヤブ(主に根曲り竹)が出ており歩き難い。南斜面も同様で時々残雪が途切れる。大いに助かったのは、北斜面ではほとんど雪が被っていた事だ。これで下山の時の登りでヤブを漕がずに済む。くねくねと稜線は曲り、何度もひだを上り下りし、残雪を踏みヤブを分け、やっとと思った雪田のさらに先のピークが頂上であった。
漆山岳山頂はなだらかな丘状で、残雪脇のヤブの中、直径1m程だけ笹の無い空間に三角点が有った。思わず駆け寄るようにして標石に触った。北面はヤブが高く視界が遮られていたが、展望はすこぶるいい。東は劔、立山、薬師、黒部五郎、槍、笠と連なり、南に流葉山が近く。西にまわって少し霞んだ白山、その右に三ヶ辻、金剛堂山、白木峰がひろがる。天気は良く、のんびりと景色を楽しみながら昼食をとる。
帰りは早い。ヤブも下りとなればさほど苦にならない。とは言え長い雪道はやはり疲れる。三角点峰を下った林道からは、遠回りになるが林道を歩くことにした。林道は初めこそ雪が詰まっていたが、日向側に回ると無くなり途端に暑くなる。最後の駐車場までの車道歩きはダラケてしまった。駐車場に着くと、体調不良で参加できなかったNさんが来ており、コーヒーを振舞っていただいた。予定より早く下山できたので、湿原を散策。小ぶりの水芭蕉、リュウキンカが咲き乱れていた。
日焼けとヤブ傷、疲労感さえも充足した山旅を彩るものであった。 [神山敬三 記]
[日 時] 平成27年5月3日(日)
[場 所] 岐阜県飛騨市宮川町洞 ~ 宮川町洞・神岡町東漆山 境
[参加者] 今峰正利、神山敬三、後藤 允、高木基揚、竹中美幸、竹中佳美、林 靖子、藤井法道、山本善貴、(縄田さかゑ)
[タイム] 池ヶ原湿原駐車場6:30-桂谷三角点9:25-漆山岳山頂10:25~11:10-池ヶ原湿原駐車場14:10(解散)
[地 図] 打保(高山14-2)、鹿間(高山10-4)
登山技術講習会(確保、懸垂下降講習)
私は岩壁を登降した経験はまだありませんので、ロープの結び方だけでも習得しようと今回参加しました。結果として懸垂下降まで行うことができ、大変感謝しております。
最初は確保の訓練です。60kg程あるタイヤをロープで吊るしておき、それが落ちて来るのを確保するのです。まずセルフビレイして、次にATCにロープを通しタイヤが落ちてきたらロープを引張り確保します。私の番になりタイヤが落ちてすぐにロープを引っ張ると、結構な衝撃とともに止めることができました。本来は落ち始めてから少し余裕をみてロープを滑らせ気味に引くと衝撃が緩和されるそうです。私は怖がって力が入りすぎたようです。
次に、懸垂下降の訓練です。私は初心者ですから、基本動作を教えて貰い、斜面で練習しました。斜面から体を離して横になるイメージで降りるよう教わりましが、40°位の斜面なのでうまく出来ました。最後に10m程の直壁を降りました。かなり高度感がありますが、上体を思い切り寝かせて右手で慎重にロープを制動し、無事下降することが出来ました。これからも反復訓練する必要があると思いました。 [久田宗昌 記]
[日 時] 平成27年4月25日(土) 8:30(集合)~13:00
[場 所] 岐阜市 百々ケ峰 不動岩
[参加者] 講 師:白木貞次、水谷嘉宏、横田昭夫
受講者:今峰正利、小林和雄、鈴木寛人、久田宗昌、馬渕 等
3月例会山行(積雪期登山研修) 美濃俣丸(1253.8m 三等三角点)~ 笹ヶ峰(1284.6m 三等三角点)
▲美濃俣丸(上)と笹ヶ峰(下)の頂上で
3月21日、暗い中、広野ダム駐車場に着く。登山準備をする間に夜が明け、出発する。岩谷川が注ぎ込むダムの橋を渡ってすぐの湖岸道は雪に覆われている。陽が出たばかりだというのに寒さは感じられず、ツボ足で1時間ほどかけて湖岸道を歩く。登山口となる鈴谷川林道に踏み入ると、杉植林地の山腹から雪解け水が流れており、50mほど地面が露出している。取り付きの直登は難ありとみて、そのまま鈴谷川沿いに林道を進むことにする。再び雪に覆われたところで、かんじきをつけて進む。林道が美濃俣丸に続く尾根に巻いて戻ってきたところで林道を離れる。取り付きは雪がなく、この上の尾根は雪がないのではないかと思わせる。かんじきを外し、杉や椿などにつかまりながら体を引き上げ引き上げ杉植林地の急斜面をのぼる。しかし、広葉樹が拡がる尾根上はたっぷりと雪があり、長いラッセルの始まりを約束している。交替交替ラッセルする。先行者はいない。まあこんなものだろうとは思うのだけれども、時間がかかる。体が沈む。今回は荷重をかけてのラッセルがテーマだ。 広い尾根を過ぎ、美濃俣丸主稜の北西尾根にのったところ(912m地点)で展望が開けてくる。狭くなった尾根の先には、美濃俣丸の頂が見える。そこからの稜線は笹ヶ峰に続いている。しかし、美濃俣丸頂上手前に急峻な1115mピークがみえる。楽にはたどり着けない。 当初の予定は頂上10時、とんでもない。露出した岩尾根を巻き、1115mピークで11時となる。頂上を眼前にとらえながらの昼飯とする。10分ぐらいで補給を終え、頂上を目指す。近づけば近づくほど頂上の見当のつかない急斜面にラッセルを少しずつ刻み、12時に美濃俣丸頂上に到着する。出発から6時間かかった。 360度の展望だ。快晴である。これから進む稜線の先には笹ヶ峰、後を振り向くと三周ヶ岳へと続く稜線、周りには不動山、千回沢山、烏帽子山など奥美濃の山々が重なり合っている。ウキウキ気分の中、今日の行程を再考する。 当初計画では、本日10時美濃俣丸、15時不動山手前、明日は不動山と千回沢山をピストンして下山となっている。ところがこの荷重と気温の上がった中での雪質、へとへと具合。結論は不動山・千回沢山行程は難ありと判断し、天候不良時等のサブ行程に入れてあった笹ヶ峰を最終目標地点と定め計画を立て直す。これからこのコースの最高地点、不動山への分岐の1294m 地点付近まで行けば、明朝、陽が昇る前に出発し笹ヶ峰ピストンを2時間以内で終えて下山できるはず。3つ程コブを越えねばならぬが、とりあえず頑張ろうということになった。 頂上から急峻な下り、鞍部まで足にまかせて一気に降りる。雪面が割れ、低木が出ているところもある。一つ目の丸いピークに登る。その先は東側に雪庇の張り出す稜線、1288mピークは巻きながら進む。トラバースし終わり稜線に戻ったところで、前方から単独行者と出会う。昨日から一泊して天草山・笹ヶ峰を越えて来たのだが、もう一泊し美濃俣丸に向かうと言う。我々は、目の前のピークに立ち、本日の宿泊地点を見定める。 ここから不動山分岐の間に、稜線上に笹の出た広い地点がある。着いてみると、西側は笹に遮られ、谷から吹上げる風の風よけとなっており、よさそうな雪面である。本日終了予定の3時近くとなっていたので、そこでテントを張ることにする。夕食は焼酎を飲みながら鍋である。寝る前に外に出ると、星空の中雪面が白く浮かんでいる。日本海側の港町の灯りも輝いている。まだ夜になっても気温が下がらない。明日は雪が締まってくれるだろうか、と思いつつ寝ていると、テントを激しくバタバタ叩く音がしていた。 3月22日、4時起床。早速、外を覗く。夜中の音の正体は降雪ではなく、あられであった。新雪がなく、雪面は締まっている。アイゼンが効きそうだ。薄暗い中、5時30分、出発する。昨日のつらさが嘘のように軽快にすすむ。ところどころ割れた雪庇に気を配りながら、30分で笹ヶ峰の頂上に着いてしまった。頂上に立っていると陽が奥美濃の山々の中を昇ってくる。今日の天気も良さそうだ。 テント場に戻り撤収し、7時20分再出発する。雪が締まっている内に美濃俣丸を越えようと急ぐ。登り返しが続くものの、9時20分に美濃俣丸頂上に再び立つ。頂上からの急な下りも昨日のラッセルが見事についている。いい仕事をしていると思っていると、2組ぐらい登ってくる。楽そうに話しかけられると、ちょっと悔しい。そのうちズボズボはまるようになる。急斜面を降りきったところで、アイゼンからかんじきにはきかえる。広い尾根を下るころには雪が腐ってくる。かんじきも効かずにずるずる滑る。途中で昼飯を食べる。帰りの鈴谷川林道はそのまま歩かずショートカットし直接林道起点まで下ると、きれいに駐車場まで除雪されきっていた。 [鈴木寛人 記]
[日 時] 平成27年3月21日(土)~22日(日)
[場 所] 岐阜県揖斐郡揖斐川町門入・塚 福井県南条郡南越前町広野 境
[参加者] 今峰正利、小林和雄、鈴木寛人
[タイム] 21日 美濃国分寺跡駐車場4:00=広野ダム駐車場5:20~5:50―鈴谷川林道起点 7:00-1115mピーク11:00(昼食)-美濃俣丸12:00-1294mピーク手前鞍部15:00
22日 起床4:00~出発5:30―笹ヶ峰6:00-泊地(テント撤収)6:30~7:20-美濃 俣丸9:20-鈴谷川林道起点11:00-広野ダム駐車場12:10
[地 図] 広野(岐阜10-4)