3月積雪期研修山行
大日ヶ岳(1709.0m 一等三角点)~ 天狗山(1658.5m 三等三角点)
~ 芦倉山(1716.8m 三等三角点)~ 丸山(1786.0m 二等三角点)
今冬は50~100年に一度と言われるほど降雪が少なかった。
3月末では標高1000m地点でも、日当たりが良ければ雪が残っていない。
当初予定していた野伏ヶ岳周辺も例外ではなく、雪がなくとも夏道で稜線まで上がれる山ということで、上記の縦走へと目的を変更した。
3月26日朝5時、下山地点の石徹白保川林道へ車を回送する。あわよくばかなり奥までと期待していたが、林道は入ってすぐに雪に覆われていた。
残りのメンバーと白鳥の道の駅で合流し、ひるがの高原の大日ヶ岳一般登山口へと移動する。駐車場周辺は完全に雪がない。
7時出発。
尾根を辿っていく夏道は雪がなく、歩き出すとやはり3月、汗をかきながら快適に歩を進める。
東からの尾根と合流する1273m地点に至ると、ようやく辺り全面雪に覆われるようになる。
快晴とは言え、まだ雪質は堅く締まっている。
アイゼン、かんじき不要のつぼ足で広い尾根を真っすぐ登る。風が雪陵を吹き上げるようになるとさすがに寒い。
ヤッケを着たり脱いだり、汗をかかぬように衣服調整しながら進む。
10時20分大日ヶ岳頂上着。一人先客あり。
スキーシーズンも盛りを過ぎ、さすがにスキー場から来る人は少ないようだ。こ
こで白木さんの膝の不調が確実となったので高鷲スノーパークスキー場経由で下山することとし、残り3人のメンバーで山行を続行する。
頂上から眺める天狗山のピークは少し出っ張った程度に見える。
そこまではトレースもあり、戻ってくるスノーシューの人とすれ違う。
▲大日ヶ岳頂上で白山、別山をバックに
危惧していた山腹の雪面はま だ割れておらず、稜線をぐいぐい進み11時20分天狗山頂上着、軽い昼食を摂る。
この先はトレースもなく、広い尾根が拡がる。
尾根のぐっと落ち込んだ辺りが中州宿か。
その先の大きな山が芦倉山だ。
1596m地点で北へと大きく尾根は曲がることになる。
左手の西側斜面は暗い常緑の杉植林地帯、右手の東側斜面はブナ、ミズナラなどの明るい落葉広葉樹林帯と、きっかり分かれる。
ブナにはたくさんの熊棚がのっている。
そう言えば、さっきも尾根を横断する熊の足跡があった。納得の熊環境である。
中州宿まで高度を下げると陽はすっかり高くなり、雪が腐り始めたところもある。
明日のため尾根上の1500m平坦地まで進み、幕営することにする。
幕営候補地手前は当然ながら急斜面。
あと20m10mがなかなか辛い。
つぼ足が雪に沈む。14時行動終了。
とりあえずビール、そしてテント設営。再びビール、夕食、就寝。
快晴の一日であった。
3月27日、4時起床、5時30分出発。
天気予報では午後から曇り所により雨らしい。
昨日より気温は高いが快晴。雪面もまあまあ締まっており、アイゼンがなくても歩けそう。
昨日頑張った甲斐があって、6時芦倉山頂上着。
ここもまた360度の視界。
これから向かう丸山、さらに遠く銚子ヶ峰、一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰、別山、白山主峰へと続く稜線が見える。
芦倉山頂上からの下降点はなかなか急だ。
鞍部まで50mほど。
樹木のない雪面を、ピッケルをさし後ろ向きで慎重に降りる。
雪は蹴り込むとつま先ぐらいは入る。
高度感がたっぷりあり、本日一番のヤマ場という感じである。
鞍部に着き一息入れて、稜線を先へと進むと、前方に見える1669mピーク直下の稜線は雪がなく、東側には雪庇の崩壊跡が見える。
進めるのだろうかと思いつつ近づくと、案の定狭い稜線は先が落ちている様子。
西側は急斜面な上に雪が薄く掴まる樹木がない。
少し戻って、東斜面の崩壊雪庇帯に降りてトラバースする。
地図には載っていないが稜線はやはり岩稜だった。
10mほどの岩稜をトラバースした後1669mピークに上がり、再び稜線上を進む。
1650mコブで方角を北西方向に大きく変えると、丸山がどんと眼前に現れる。
オーッと思う一方、これから50m降って180mの登りだ。
頂上直下の急斜面は雪面に笹も出ている。
西側は崩壊地で雪が少なく、東側は雪庇が崩壊し地面が見えている。
笹を目指すしかないだろう。
到達してみると、やはり笹に突入するのが一番安全のようだ。
笹をつかみながら体を押し上げてみると、意外とすぐに笹帯を突破しつるつるの雪面が出てきた。
一気に雪面を蹴り込みながら10mほど登ると急斜面は終わり、頂上が見えた。
8時、丸山頂上到着。今回の行程の最高地点だ。
▲丸山の頂上。別山、白山が大きい
いまのところ雲一つない快晴だが、天気予報を信じればゆっくりしていられない。
頂上で写真を撮ってすぐに復路へ向かう。丸山から降り切った鞍部でアイゼンを装着する。
アイゼンをつけなくても歩けそうだが、ここでの50mの登り返し、岩稜のトラバース、芦倉山への登り返しと続く難所を考慮した。
1669mピークの岩稜をトラバース中、上部から雪の跳ね上がりがゴソッと落ちてきてビクッとする。
芦倉山直下の急斜面を一部トラバースし9時35分芦倉山頂上に戻る。
10時幕営地に戻りテントを撤収し、11時かんじきをつけて再出発する。
中州宿鞍部から杉植林帯を抜け、すぐに保川林道に降り立つ。
陽の当たる林道にはしっかりと雪が残っていたが、一つ目の橋を越え林道が南向きになると地面が露出するようになり、かんじきを外す。
2時間の林道歩きで、13時、保川林道口の車へ到着した。
[鈴木寛人 記]
[日 時] 平成27年3月26日(土)~ 27日(日)
[場 所] 岐阜県郡上市高鷲町ひるがの、西洞、白鳥町石徹白
[参加者] 今峰正利、小林和雄、鈴木寛人、(別ルート)白木貞次
[タイム] 省略(一部、本文参照)
[地 図] 新淵(金沢4-2)、石徹白(岐阜1-3)、二ノ峰(金沢4-4)