平成29年 第五回 リハビリ登山
12月24日 百々ヶ峰(岐阜市)
支部員6名+会友1名+4名(小学生2名含む)
寒いながらも木漏れ日の中、岐阜市三田洞にある「いこいの森駐車場」より管理道を三田洞展望までの2kmを、往復歩ききった。参加者の内、重度認知症1名がある。
◆◆ここで認知症患者のリハビリ登山について考察を試みます
(古田 大 記)
11月、12月は認知症患者の方をリハビリ登山として山行実施しました。
★認知症患者の登山のメリット
⑴認知機能を刺激できる。
認知機能とは①記憶力 ②言語能力 ③判断力 ④遂行力 ⑤計算力 です。
脳の機能の中でも、とりわけ「認知機能」の低下は日常生活に大きな影響を及ぼします。 認知機能とは、ものごとを正しく理解して適切に実行するための機能のことです。この5つの認知機能が低下すると軽度認知障害(MCI)から認知症に移行するのです。
例えば
① 記憶力→この前行った山はどんな山だったかな…と思い出す記憶力。
② 言語能力→登山地図などを読む言語力。
③ 判断力→天気によっては中止にしようとすると判断力。
④ 遂行力→あと少し山頂だ…ものごとを成し遂げる遂行力。
⑤ 計算力→登頂時間、下山時間を計算する能力。
⑵感覚神経を刺激出来る。
軽度認知症状の身体的特徴は『筋トレなどの反復運動を続けても痛みや疲れをあまり感じない。』これは感覚神経の働きが低下しているのが原因と考えられる。
山登りは当然、心拍数の上昇する運動です。心拍数の上昇が感覚神経を刺激し脳血流を増加させ軽度認知症状の方の短期記憶力の改善に効果があります。
登山も筋肉疲労を起こすような刺激がたくさんあり軽度認知症状の改善に効果が期待できます。 筋のみの刺激ではなく、景色/風の音/気温など肌(皮膚)で感じることの情報がたくさんあります。軽度認知症状の方は『感じる』という感覚神経の繋がりが悪いため周囲の環境変化に鈍感になって います。登山は筋刺激のみならず、五感を通しての感覚刺激がたくさんあります。身体も五感も 全てを動員した登山は軽度認知症状予防や改善に少しでも役立つものと期待してます。
*山歩きの五感刺激とは
✔視覚-季節の移り変わりを視る
✔聴覚-木々のせせらぎ、鳥の声を聴く
✔触覚-木々や土を触ってみる
✔味覚-おいしいお弁当を食べる
✔嗅覚-新緑や枯葉、風が運んでくれる匂いを嗅ぐ
★課 題
⑴指示入力の難しさ
認知症の方は指示が難しく運動の継続が困難。
そのため、登山など自然に触れあうことのでき心がワクワクするような場所であれば自然と身体を動かすことが出来るのではないか。
⑵選択する山のむずかしさ
認知症の方の多くは高齢者です。認知症のみならず多くの基礎疾患を持っています。基礎疾患を考慮し最適な山を選択することが難しい。
⑶周囲への理解の難かしさ
認知症の方の多くは家族に理解していただけてないことが多くあります。
認知症の方を登山に連れていく場合は家族の方の理解も含めてなるべく同伴してもらいます。
以上、古田さんにリポートして頂きました。
◆我々自身も遠くない将来、この問題に直面せざるを得ません。早期に運動を始めれば健康寿命が延びることは科学的に実証済みです。あなたを含め周りの方を誘って運動を、とりわけリハビリ登山をされることをお勧め致します。
2月11日は、リハビリ登山を金華山で行います。
国内山行委員会 神山敬三